きょうだいの組み合わせは色々ありますが、2人きょうだいの場合4通りになります。
姉—妹、姉—弟
兄—妹、兄—弟
この4通りの組み合わせの中で、年収が34万円も低くなるパターンが1つだけありますが、どれになるか、またなぜそうなるのか分かりますか?
今回は意外なきょうだいの組み合わせによる種明かしをします!
ブラザーペナルティとは
2021年12月13日に「PRESIDENT Online」に掲載された記事が大きな反響を呼びました。
拓殖大学准教授の佐藤一磨氏によって書かれた、「『弟がいる長女は文系を選びやすく収入が低い』きょうだいの組み合わせが人生に及ぼす意外な影響」という記事です。
この記事の中でブラザーペナルティと言う言葉が使われています。
ブラザーペナルティとは、きょうだいが「姉ー弟」の場合、長女は母親と過ごす時間が増え、女の子らしく振る舞うことを意識するようになり、伝統的な性別役割分業意識を持ちやすくなる。その結果として、学業や職業選択、家族形成の際に影響を及ぼすというものです。
その根拠としての理由が2点あげられています。
1.親の行動パターン
「姉—妹」と「姉—弟」を比較した場合、親の子どもへの接し方が異ります。
基本的に親は、自分と同性の子どもと接する時間が多くなる傾向にあります。
男の子は成長するとサッカーや野球のようなスポーツをするようになりますが、このような活動は母親よりも父親とする方が多いと思います。
女の子も同様に、成長するにつれておしゃれやメイクに興味をもつようになり、その際にアドバイスは父親よりも母親に求めることが多いでしょう。
男の子は父親と、女の子は母親と過ごす時間が多くなり「姉—弟」の方がより同性の親の影響を受けやすくなります。これが同性の親に影響を多く受ける理由です。
さらに子どもは、同性の親とともに過ごす時間中で物事の考え方や社会的規範も学んでいきます。
男の子が父親からキャンプで火のおこし方を学んだり、女の子が洋服を選ぶ際に服の畳み方や片付け方を学んだりすることが挙げられます。
「姉—弟」の方が、「姉—妹」よりも母親と過ごす時間が多くなり、より伝統的な性別役割分業意識を持つようになると言われています。
「男は仕事、女は家事・育児・買い物」という昔から考えられている概念。日本は役割分担の意識が強く、男は妻子を養い、女は家庭を守ると分業が一般的だった。
近年では、女性の労働化が進んでおり男女共同参画社会を目指している。
「姉—弟」のきょうだいでは、「男は仕事、女は家事・育児・買い物」という概念を意識した行動をしやすくなるのです。
2.子どもの行動パターン
子ども自身の行動も、きょうだいの組み合わせによって差異が出てきます。
子どもは自分の兄弟姉妹との差別化を意識して個性を獲得する傾向があると、多くの心理学の研究が明らかにしています。
「姉—弟」の場合、長女の行動パターンは「よりお姉ちゃんらしく、女の子らしく」を意識したものになります。
母親が弟の世話をしているのを真似て同じように弟の世話を焼いたり、弟がズボンを履くのとは異なり自分はスカートを履くことで性差を意識したりするようになります。
「姉—妹」と比較した場合、弟の存在がより性別を強く意識させ、伝統的な性別役割分業意識を持つようになると言われています。
ブラザーペナルティの影響は?
「姉—弟」と「姉—妹」を比較した場合、親も子どもも行動パターンが異なり、それによって「姉—弟」の場合の姉にブラザーペナルティは生じます。
「姉ー弟」のきょうだいの場合、
①母親と過ごす時間が増える
②女の子らしく振る舞うことを意識する
③伝統的な性別役割分業意識を持ちやすくなる
それではブラザーペナルティが生じた場合、どのようなことが起こる可能性があるのでしょうか。
具体的には、学業や職業選択、家族形成の際に影響を及ぼすと考えられています。
学業面では、理系よりも文系を選びやすくなります。
職業面では、男性よりも女性比率が高い職種を選びやすくなり、その職種は所得水準が低い場合が多いため、所得も低めになってしまいます。
家族面では、結婚して子どもを持っている比率が高くなる可能性があります。
これらの可能性は、デンマークやアメリカの研究結果より明らかになっています。
また、デンマークやアメリカではブラザーペナルティが存在するものの、伝統的な性別役割分業意識が弱いため影響力も同様でした。
一方日本では、伝統的な性別役割分業意識が色濃く残っているため、ブラザーペナルティの影響がより強くなる可能性があります。
子どもの性別は選べないため、この事実には衝撃を受けると思います。
ブラザーペナルティに関してのTwitterの意見を集めてみました。
Twitterでのブラザーペナルティの反応は?
Twitterの反応からもブラザーペナルティの負の影響力は強いものだと伺えます。
ブラザーペナルティは、親の行動と子どもの行動の双方が影響しており、子どもの行動パターンは変えることができません。
「姉ー弟」の子どもを持つ両親は、ブラザーペナルティを意識した子育てをしていく必要があるでしょう。
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